2025年のギャラリーオープンを目標に、現在「古美術美養」の新しいロゴを作成中です。このロゴには、先代が込めた思いをしっかりと反映させたいと考えています。「美しい」という字と「養う」という字、この二つの言葉に秘められた深い意味を、どう可視化できるかを模索している最中です。
先代が愛した瀬戸の染付。その優美な芸術品が生活用品の域を超え、人々の心を豊かにし、芸術への意識を高める力を持つものだということを改めて実感しています。一つひとつの骨董品には、作り手の経緯や思いが宿り、それに触れることで私もまたその価値を感じ、次世代へ伝えていく責任を負うような気持ちになります。
なぜ「美」と「養う」という言葉を店のロゴに込めたのか。それは先代が感じた瀬戸焼、特に染付が持つ力に起因します。染付はその繊細な絵付けと緻密な技術によって、ジャポニズムやアールヌーボーといった芸術運動にも多大な影響を与えました。
その美しさは、ただ鑑賞するだけではなく、見る人の心を育み、生活そのものを豊かにするものでした。先代が追い求めたのは、単なる装飾品や日用品としての価値を超え、これらの作品が人々の内面的な成長を促すような力を持つことでした。
瀬戸焼は明治時代に歴史的な変革を経験しました。特に明治4年の廃藩置県により、それまで保護を受けていた瀬戸の職人たちは、自らの技術を新たな市場に活かすため、輸出に活路を見出しました。明治6年のウィーン万国博覧会では、その精巧な技術と美しい絵付けが世界的に高く評価されました。この評価を機に瀬戸焼は本格的に海外へ進出し、その約7割が輸出されるに至りました。
その中で、瀬戸の職人たちは世界中の人々に驚きと感動を与えたのです。
その歴史をロゴに込めることは、私にとって大きな挑戦であり、楽しみでもあります。「美」と「養」という言葉を古い書体で表現し、縦書きのレイアウトで調和やシンメトリーを追求することで、歴史の重みや瀬戸の価値観を視覚的に伝えたいと考えています。また、和の模様や藍色の色調を取り入れ、瀬戸焼の特徴をロゴデザインの中に織り込みたいと思っています。
ロゴの完成にはじっくりと時間をかけるつもりです。急ぎ足で作り上げるのではなく、試行錯誤を重ねながら、本当に良いものを追求します。そのプロセスそのものが、新たな創造のエネルギーや期待感を生み出すと信じています。
先代が残してくれた美術品やその精神を、より多くの方々に知っていただきたい。そして来年のギャラリーオープンに向けて、皆さまに親しみを持っていただけるような空間を作り上げたいと思っています。まだ具体的な日程は決まっておりませんが、一歩一歩準備を進めております。
心を込めて作り上げるこの空間で、皆さまとお会いできる日を楽しみにしています。