瀬戸染付と横山美術館での至福のひととき

 

先日、瀬戸市の新世紀工芸館に足を運びました。

 

そこで、学芸員の方から非常に有益なアドバイスをいただきました。

 

瀬戸の江戸時代や明治初期の染め付けに興味があるとお話ししたところ、「名古屋にある横山美術館を訪れてみてはいかがでしょうか」と勧められました。

 

 

横山美術館は、明治・大正時代に制作された輸出陶磁器の里帰り品を中心に展示しており、国内で製作された輸出陶磁器や、日本初の洋風陶磁器であるオールドノリタケのまとまった作品群が非常に豊富に展示。

 

 

もちろん、瀬戸染付に関しても名品と呼ばれるものが数多く展示されているとのことでした。

 

 

さらに、「ちょうど今、『薩摩の輝き』という企画展も開催されていますので、そちらも面白いと思いますよ」と話されていたので、これはぜひ訪れてみる価値があると思い、早速昨日、横山美術館を訪れました。

 

 

 

横山美術館へ

 

 

蒲郡からJR名古屋駅で下車し、そこから健康のために徒歩で約1時間。

 

距離にして5キロ程度を横山美術館までウォーキングしました。到着したのが午前10時過ぎでした。

 

この美術館は、名古屋市の実業家・横山博一が1998年から個人で収集した陶磁器約4,000点を収蔵し、2017年に開館したものです。

 

5階建てで1階から3階が常設展示スペース、4階は企画展示スペースとなっており、「海外で愛されている薩摩様式のやきもの サツマの輝き」企画展をしていました。

 

 

 

 

受付を済ませて1階の展示室に入るために自動ドアをくぐると、最初に迎えてくれた作品が瀬戸焼の陶画の至高、大出東皐の「染付遊兎図衝立」でした。

 

 

 

私は初めてこの作品を目の当たりにし、しばらく動くことができませんでした。

 

若草の繁る岩陰に背を丸めた兎たちが描かれているこの陶画、

 

 

 

 

呉須の濃淡を生かし、

 

うさぎの毛並みの柔らかさ、

 

そして愛嬌のある表情が生き生きと描かれ、

 

周囲の秋草等も実に写実的で緻密且つ繊細に、爽やかな染付で描かれています。

 

風情感じる素晴らしい情景に見とれ、

 

ただただため息だけがこぼれていました。

 

 

 

 

全高は約102cmと大変大きな作品で、その素晴らしい染付も相まって抜群の存在感と飾り映えを誇ります。

 

 

日本画家の大出東皐は江戸の神田に生まれ、花鳥画などを手掛けました。

 

陶画師としても明治3年(1870年)に訪れた瀬戸で染付技法の着手を始めています。

 

 

 

 

もうこれだけで私の心は鷲掴みにされてしまい、

 

この後に見る初代川本桝吉、二代加藤繁十、六代川本半助、二代加藤杢左エ門、三代加藤三平、加藤勇四郎の作品に酔いしれてしまいました。

 

 

 

 

まるで時を遡るような感覚で、美しい作品たちに囲まれた時間は、私の瀬戸染付に対する情熱を再確認させてくれるものでした。

 

美しいものに対するこだわりと敬愛の念が、さらに深まった一日でした。

 

うさぎのあのふさふさ感はヤバいです!((笑))

 

 

 

Information

横山美術館

住所 愛知県名古屋市東区葵1-1-21

電話 052-931-0006
開館時間 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日 月(祝日の場合は翌平日)、8月13日~15日、12月29日~1月4日
アクセス 名古屋市営地下鉄東山線新栄町駅徒歩4分、桜通線高岳駅徒歩4分
URL https://www.yokoyama-art-museum.or.jp