古美術商としての一歩を踏み出したばかりの私にとって、何よりも大切なことは学ぶことだと強く感じています。学ぶ方法は主に二つ。
まず一つ目は、先代が収集した数百点もの共箱を一つ一つ丁寧に開けてみることです。
時間をかけて目で見て、手で触れ、その染付の美しさや質感をじっくりと感じるつもりです。
目で見て手で触れることで、陶磁器の細かなディテールや質感を直接感じ取ることができます。
こうした視覚と触覚の総合的な学びは、古美術品を取り扱うものにとっては有益な学びであって、単なる理論や写真だけでは伝わらない微妙なニュアンスや質感。
この実体験が、知識としての理解をより立体的で豊かなものにするのだと思います。
これによって、自分自身の経験というファイルの中に、瀬戸の名工たちの作品を少しずつインプットしていこうと思います。
こうした地道な作業を通じてしか、物を見る目を養うことはできないと感じています。
二つ目は、
人や本からの学びです。
そして、得た知識を絶えずアップデートし続けることが重要。
歴史は研究者たちによって常に新しい真実が追求され、上書きされているからです。
瀬戸染付に関しても同様。
最近、瀬戸を訪れた際に、瀬戸市美術館で令和に入ってから出版された
「加藤民吉の真実」
「瀬戸染付開発の嫡流」
「初期瀬戸焼染付の謎」
そして「瀬戸焼、受け継がれる千年の技と美」などの本を手にしました。
これらの新しい資料を通じて、常に最新の知識を取り入れ、深めていくつもりです。
20年前に出版された本だけに頼るのではなく、常に新しい情報を学び続けることが、今後の学びにつながると信じています。
今日もまた、一歩一歩進んでいこうと思います。